(2016/4/27 05:00)
(ブルームバーグ)米アップルと法廷や販売店舗で長年争ってきた 韓国サムスン電子は、和解の準備を整えている可能性がある。サムスンは和解申し出の引き換えに90億ドル(約1兆円)近くを費やす見通しだ。
事情を直接知る複数の関係者によると、サムスンは「iPhone(アイフォーン)」の来年発売モデルのディスプレーを独占的に供給するサプライヤーになる方向でアップルと交渉中。サムスンは現行モデルよりも薄く、高輝度でバッテリー消費の少ないディスプレーの生産能力を高める設備投資で、90億ドル近くを投資する必要があるという。
アップルに有機EL(OLED)ディスプレーを供給する契約は、韓国の毎日経済新聞が先に 報じた。アップルと契約すれば、サムスンは2年にわたって減少するスマートフォン市場シェアや売上高、純利益をてこ入れできる可能性がある。HMCインベストメント・セキュリティーズのアナリスト、グレッグ・ロー氏は「サムスンにとって投資リスクは当初こそ非常に大きいように見えるが、かなりの見返りがあるだろう。アップルが新しいディスプレーを採用すれば、他のメーカーも追随せざるを得ない」と指摘した。
毎日経済新聞が情報源を明かさずに伝えたところによると、サムスン電子の子会社の サムスンディスプレイは有機ELパネル生産能力を強化するため、10兆ウォン(約1兆円)以上投資する可能性がある。サムスン電子はサムスンディスプレイに85%出資している。
サムスンディスプレイは電子メールでコメントを控えた。アップルの韓国在勤広報担当者に取材を試みたが現時点で返答はない。
(2016/4/27 05:00)