[ オピニオン ]

産業春秋/グローカリズム

(2016/6/27 05:00)

「グローカリズム」という言葉が台頭したのは今世紀に入ってからだと記憶する。米国主導で加速する「グローバリズム」に対し、地域性を重視しろという反発が欧州の一部に生じ、その説明の中でよく使われた。

「民族自決」は第二次大戦後の世界秩序の基本原理だ。グローバリズムは国際秩序と法の支配のもとで、世界普遍化を目指す。この両立をはかるのがグローカリズムと解釈できる。

英国民が欧州連合(EU)からの離脱を選択したのは、欧州の秩序に対する反発だ。典型的なグローカリズムであろう。自らの生活や安全を守るために政策決定権を持ちたいというのは、自然な欲求に思える。

ただ普遍化を目指すグローバリズムの概念も、歴史とともに変質している。ごく初期には、諸民族が混血して単一言語を話すイメージが強かった。今では民族や言語、宗教の異なる人々のグループが、それぞれの生活圏を確保しつつ共存する「モザイク化」がひとつの目標だ。

英国という大きなピースは、EUとは別の色になると自分たちで決めた。それは必ずしも、世界というモザイク作品をバラバラにするものではない。地域の意思を柔軟に受け入れられるグローカリズムに、より磨きをかけたい。

(2016/6/27 05:00)

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