[ オピニオン ]
(2016/6/28 05:00)
海外の太陽電池メーカーから購入した懐中電灯を気に入っている。A4サイズほどのパネルを差し込み、充電して点灯する。乾電池も商用電源も使えない潔さが逆に魅力に思える。
本来はキャンプなど屋外用だろうが、自宅でハンガーにぶら下げて電気スタンド代わりにしている。週末ごとにベランダで充電しないといけないし、電気残量も表示されない。それでも発電中のサインが点灯すると、再生可能エネルギーの活用を実感して愛着が湧く。
新国立競技場の設計者としても知られる隈研吾さんの代表作に「石の美術館」(栃木県那須町)がある。石を薄く切って積み上げた「石格子」を風や光が抜ける新規性が高い評価を受けた。
著書『建築家、走る』(新潮文庫)に「ネガティブな制約をバネにしたおかげで、そこにしかない特別な建築になりました」とある。少ない予算で何とかしようと、現地でタダ同然だった石の活用を思いついたという。
再生エネは発電量が不安定で扱いづらい上に高コストだ。しかし、そうした制約が革新のバネにならないか。愛着を持って技術を使いこなし、新たな明かりが街にあふれた時に、スマートコミュニティー(次世代社会インフラ)が形になるのだろう。
(2016/6/28 05:00)