[ オピニオン ]
(2016/7/18 05:00)
海の向こうから、連日のように凄惨(せいさん)な事件が聞こえてくる。南フランスの観光地・ニースで起きた無差別テロ。親日国・トルコを揺るがしたクーデター騒ぎ。
いずれの事件も、宗教的要素の強い対立が背景にあることをうかがわせている。グローバル時代にあっては東洋の外れの島国といえども、こうした争いから無縁ではいられない。常に邦人の安否を気遣い、ビジネスの心配をしなければならない。
人類は異なる民族や宗教、文化の違いの間で数え切れないほど争いを繰り返してきた。その中で考え出された一定のルールが国際法であり、戦火の中から秩序と安定を見出した西欧列強が先進国となった。
遅れて近代化を目指した日本はまずは列強の覇権を認め、その中で自らの地位を有利にするためにもがいた。あの忌まわしい太平洋戦争は、列強の一角に力で割り込もうとすることの愚かさを後世に教えている。
先進国の築いた法と秩序は人類共通の知恵であり財産だ。それを多くの民衆が受け入れた時に、民族や宗教、文化の違いがもたらす争いは出口を見つけられる。南シナ海問題での中国の強硬姿勢についても同じことが言えよう。産業界は、争いが繁栄を生まないことを熟知している。
(2016/7/18 05:00)