(2024/12/2 05:00)
麻薬は戦争を引き起こす。そんな威嚇も込められているのか。米国のトランプ次期大統領は中国からの輸入品に対して追加で10%の関税を課すと表明した。中国からメキシコなどを経由し、合成麻薬フェンタニルが流入していることへの対抗措置とする。
1840年に起きたアヘン戦争。英国から清へのアヘン密輸が急増し、国内にまん延。対英貿易は赤字となり、銀が大量に流出した。清は禁輸に踏み切り、アヘンを没収して焼き払ったが、英国は賠償を請求。これを清が拒否し戦争となった。結果、香港が割譲された。
1993年、米国にコカインを流入させて巨万の富を築いていたコロンビアの麻薬王を治安部隊が急襲し射殺した。警察や敵対する麻薬カルテルへの対抗で、一国の軍隊のような重火器を装備していたからだ。米国は部隊を直接支援し現地介入した。
麻薬王のカルテルは壊滅した。だが密売拠点はメキシコなど周辺国に移り今日に至る。メキシコに25%の関税を課すことを同時に表明したのも興味深い。
麻薬による問題を関税で解決できるわけではない。ただ利を得られなければ、要求はエスカレートしていく。トランプ米次期大統領の外交から目を離せない。
(2024/12/2 05:00)