産業春秋/トランプ氏「『関税』は美しい」

(2024/11/29 05:00)

「辞書の中で、最も美しい言葉は『関税』だ」とトランプ米次期大統領。ビジネス感覚で外交に臨むトランプ氏は、貿易赤字を“損失”と捉え、高関税を課すことで自国産業を保護する。対米貿易の黒字国は“侵略国”と映っているようだ。

トランプ氏は2025年1月の大統領就任後、メキシコなどに25%の追加関税を課す方針を表明した。合成麻薬や不法移民が、メキシコ経由で米国に流入していることだけが理由ではない。

米国にとってメキシコは最大の輸入相手国だ。米大統領選では、メキシコからの輸入車には200%関税を課す方針さえ示していた。中国が廉価な電気自動車(EV)をメキシコで生産し、米国に流れることへの警戒感も強い。

イーロン・マクス氏。トランプ氏の政策はテスラのメキシコ工場建設に逆風だが、自動運転を支える人工知能(AI)やIT分野での規制緩和にマスク氏は期待しているのか。同氏はトランプ政権の「政府効率化省」のトップとして新政権に規制緩和などを助言する。

“EV嫌い”で、“美しい”関税を行使するトランプ氏。同氏の言動に、世界経済が振り回されつつある。トランプ政権の長い4年は、まだ始まってもいないのに。

(2024/11/29 05:00)

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