[ オピニオン ]
(2016/7/25 05:00)
『トムとジェリー』と言えば、世界中で知られたアニメ番組。ネコのトムが作戦を練って追いかけるが、頭の良いネズミのジェリーに反撃され、いつも逃げられてしまう。
サイバー攻撃とその対策はしばしば「いたちごっこ」に例えられる。英語で言えばキャット・アンド・マウス・ゲーム。攻撃側と防御側の追いかけっこというわけだ。
現状は攻撃側が圧倒的に有利。どんなに防御側が壁を高くしても、攻撃側はトライを繰り返し、小さな穴をひとつでも見つければ入り込む。すべてを守らなければならない防御側と、手法を変えながら攻め込む攻撃側は、どちらが賢いジェリーだろう。
「攻撃を受けていないのではなく、気づいていないだけ」―。情報セキュリティ大学院大学の田中英彦学長は、こうした感覚に改めるべきだと説く。近年は重要インフラなどを狙った標的型のサイバー攻撃が急増。ライバル社に侵入して顧客情報を盗む「公開攻撃キット」なるものまで登場している。
今後はIoT(モノのインターネット)機器を介した攻撃も予想される。今やサイバー攻撃対策は経営問題であり、コストではなく将来に向けた投資と心得るしかない。終わりのない追いかけっこに挑む覚悟が必要だ。
(2016/7/25 05:00)