[ 政治・経済 ]
(2016/7/25 05:00)
(ブルームバーグ)英国民投票で決定された欧州連合(EU)離脱をめぐる混乱で、最大1兆6000億ドル(約170兆円)相当の合併・買収(M&A)が将来的に失われる可能性が新たな調査で示された。
オックスフォード・エコノミクスの金融モデリングに基づくベーカー&マッケンジーの世界M&A見通しによると、英国のEU離脱の明確なロードマップの欠如が、政治と市場の不確実性のサイクルにつながり、短期的投資計画と景況感に打撃を与える恐れがある。リポートによれば、英国の来年の経済成長率が1.1%に低下すると予想される状況で、M&A総額は向こう5年間で少なくとも2400億ドル減少する見通しだ。
6月23日の英国民投票でEU離脱が決まったことに伴う先行き不透明感の影響は、既に表れている。ブルームバーグが集計したデータによれば、今年これまでの世界のM&A総額は前年同期比16%減の1兆5000億ドル。
ただ、全く希望が持てないわけではない。ブルームバーグが集計したデータによると、英国民投票後の1カ月間で発表された欧州企業が関係する M&Aの総額は、約1030億ドルに上る。この中には、ソフトバンクグループによる英半導体設計会社ARMホールディングスの320億ドル規模の買収と、フランスのダノンによる米ホワイトウェーブ・フーズの買収合意が含まれる。
ベーカー&マッケンジーのロンドン M&A担当パートナー、ティム・ ギー氏は「 英国のM&A市場が従来のペースを保てなくとも、急停止はないことを裏付ける証拠をわれわれは過去数日で目撃した。金融・法律・経済の分野で、ロンドンへの人材の著しい集中が今後も続くだろう」と指摘した。
原題: Brexit Chaos May Erase $1.6 Trillion From Global M&A, Study Says(抜粋)
(2016/7/25 05:00)