[ 機械 ]
(2016/8/2 05:00)
【ニチユ三菱フォークリフト/リーチ型バッテリーフォークリフト・プラッター80シリーズ】
顧客の声聞き“本質”追求
ユーザー調査、観察を元に「走る」「曲がる」「止まる」「揚げる」という本質を追求した、ニチユ三菱フォークリフトのプラッター80シリーズ。倉庫内では後進も多く、運転手が左斜め前を向く実際の運転姿勢を軸に設計、デザインし、ユーザーの要望を取り入れて使い勝手の良い車両を作り上げた。
フォークリフトはベテラン、初心者、女性、アルバイトなど運転習熟度の異なる複数のユーザーが使う。「ベテランはレバー操作で速度やリフトの上げ下げを加減できる」(仲田真基フォークリフト技術部主任研究員)。ただ、慣れていない運転手の操作では荷物の落下にもつながる。
そこで従来のパワーモードとノーマルモードに加え新たにカスタムモードを設けた。カスタムでは加速力、アクセルレバー特性、反応を運転手の経験、スキルに合わせてフィーリングを調整できる。
エコモードを設けて旧型に比べ稼働時間を最大21%向上(1・5トン車両のノーマルモードの場合)させた。
ドライブ輪とキャスター輪をつなぐコントロールリンケージ機構の工夫により、フロアの高さを従来より50ミリメートル低くした。現場では乗降頻度が多く、高さを抑えるユーザーの要望も多かった。「フロアを下げつつ、タイヤの動きを確保するのが難しかった」(野々口元喜同主任研究員)という。車両全体が低重心化し、旋回時の前輪浮き上がりを抑え、安定性を向上した。滑りやすい路面でも安全走行が可能なアンチスリップ制御を標準装備している。
ユーザーの観察から「運転手の8割が左斜め前を向く姿勢をとる」(熊澤弘顕開発部チーフデザイナー)ということを前提に操作レバー配置などを見なおした。前方に20ミリメートル、左側に30ミリメートルに動かすだけだが、従来機に慣れたユーザーに試してもらうなど慎重に進めた。同シリーズは15年1月に発売し「前モデルと比較すると販売台数は約1割増えている」(湯口信吾フォークリフト技術部主務)。ユーザー評価が反映されている。
(京都・水田武詞)
(2016/8/2 05:00)