[ 機械 ]
(2016/8/22 05:00)
【光学式プラネタリウム「インフィニウムΣ」/星の「美しさ」にこだわり】
星の「美しさ」にこだわり
光学式プラネタリウム「インフィニウムΣ(シグマ)」は、最新の光学技術を駆使し、「漆黒の夜空に輝く恒星の美しさ」にこだわった最高峰モデルだ。
コニカミノルタのヒューマンエクスペリエンスデザインセンターの西世古旬氏は、「機能美や迫力をどう表現するかにこだわった」と話す。恒星を投映する恒星球ユニットは、32個の五角形と六角形を組み合わせたサッカーボールのような外観で、星の仲間のようにメタリックに光る。従来の二つのおわんをカプセル状につなげた外観から、ガラリと印象が変わった。
プラネタリウムは100万分の1メートル単位の微細な穴を開けた「恒星原板」を光源とレンズの間に置くことで星を全天のスクリーンに映す仕組み。インフィニウムΣは、全天360度を32分割しているため、恒星原板の入った投映筒が32個配置される。投映筒の周りに五角形と六角形のカバーを付けるようにデザインした。
観客から見えないが、プラネタリウム内の全天は五角形と六角形に分割されて投映されており、デザインから裏にある技術を垣間見ることができる。
32という数にも理由がある。従来の12分割方式は投映に高倍率のレンズを使わなければならず、星の像がぼやけてしまっていた。「32分割は星が最もきれいに見える」(コニカミノルタプラネタリウムの大谷健一製造部長)。ほかにも高輝度発光ダイオード(LED)採用で、星をより明るく、色を調整できるなど最新の技術を詰め込んでいる。
恒星球ユニットをよく見ると、小さな穴がいくつも開いている。これは、冷却用のファンや、冬の大三角を形成するシリウスなどの明るい星のための専用投映機。「この部分を五角形や六角形の一部が欠けた状態に残して、見た目に面白さを出した」(西世古氏)。
プラネタリウムの上映中には、五角形と六角形の隙間が光り、恒星球自体も演出の一部になる。最新のプラネタリウムには、輝く技術が隠れている。
(梶原洵子)
(2016/8/22 05:00)