[ オピニオン ]
(2016/8/22 05:00)
政府は9月に召集予定の臨時国会に2016年度第2次補正予算案を提出する。「未来への投資」と銘打った事業費28兆円超の大型経済対策のうち、国費4兆円分を補正予算に盛り込む。働き方改革や生産性向上に向けた構造改革を軸とした今回の対策を足がかりに、補正予算に依存しない民需主導の経済成長の実現が期待される。
経済財政諮問会議(議長=安倍晋三首相)の民間議員は、この3年間で年度平均5兆―6兆円の補正予算で景気を下支えたにもかかわらず、実質成長率は伸び悩んでいると指摘。0%台とされる低い日本の潜在成長率を引き上げなければ、“対症療法”として補正予算を編成する財政手法が常態化しかねないと警鐘を鳴らしている。
16年度の補正予算も、すでに2度目だ。だが中長期の視点にたった今回の経済対策を、補正に依存しない財政構造への転換点だと前向きに受け止めたい。対策は短期的な消費喚起にとどまらず、最低賃金の引き上げや長時間労働の是正、女性の活躍促進といった働き方改革、さらに生産性向上やイノベーションを喚起する構造改革を柱に据えている。これらの施策で経済を好循環させ、補正予算に頼らない財政運営に舵(かじ)を切ることが期待される。
諮問会議の民間議員は、日本経済は例えるなら「五右衞門風呂」だと表現する。全体の効率が悪いので、風呂釜(雇用や企業収益)は熱いのに水(個人消費や設備投資)がなかなか温まらない。つまり日本の潜在成長率があまりに低いため、長期間にわたる財政出動で経済を加熱し続けなければならない。こうした状態を早期に是正する必要がある。
過去にも補正予算は当初予算の復活折衝的な側面があった。予期せぬ国際金融市場の混乱時などには補正編成もやむを得ないが、補正の緊急性を“隠れみの”にした歳出拡大は財政健全化に逆行する。安倍政権は官民の既得権益に踏み込んだ構造改革を力強く推進し、当初予算と決算が一致する経済財政運営を目指してもらいたい。
(2016/8/22 05:00)
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