[ 機械 ]
(2016/8/25 05:00)
【ロボットハンド「TRX」】
シンプルで使いやすさ追求
ロボットの「手」となり、モノをつかむ機能を生み出すロボットハンド。THKが開発したハンド「TRX」は、アクチュエーター一つで動作するシンプルな構成が特徴だ。シンプルながらも、3本の指でさまざまな物体をつかむことができる。機能や性能のほか、コスト、信頼性、使いやすさといった製造現場の要求を考慮した末に、現行の姿に行き着いた。
元々THKは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)との共同事業でロボットハンドを開発した実績を持つ。同事業で得た技術を、THKの主力である産業機械分野に展開すべく、TRXの開発が始まった。
JAXAと開発したのは、宇宙空間での作業に用いる高機能なロボットハンド。TRXの開発ではこれをどれだけシンプル化し、市販品に見合うコストに落とし込めるかがテーマだった。そこで生まれたのが、アクチュエーター一つで3本指を動かす方式だ。
「例えば義手は、実質的には親指、中指、薬指を動かすタイプが多い。人のようにモノをつかむ上で、最低限必要な指の数が3本とされている」と技術本部事業開発統括部の遠藤嘉将氏は、この方式にした理由を説明する。小型版のTRXだと、直径10ミリ―100ミリメートルの物体をつかむことが可能。「平行チャックなどのように、対象物が変更される度に作りかえる必要がない」(遠藤氏)という。
開発において特に重視したのが、製造現場での使いやすさだ。「モノをどうつかませるのが適切かを、ユーザーが分かりやすいようにしたかった」と遠藤氏は振り返る。このため、どんな物体でも重心が各指の根元から等距離の位置にある時に、安定的につかめる設計を採用。これにより、ユーザー側は現場で迷わずロボットシステムを構築できるという。また、ノートパソコンとつないで簡単に動作設定できるのも特徴だ。「工場内のあらゆる場所、場合によってはオフィスでも設定できる」と遠藤氏はほほえむ。
(藤崎竜介)
(2016/8/25 05:00)
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