[ 機械 ]
(2016/8/29 05:00)
【ダイカストマシン DC350R−EH/0・03秒“制し”高品質に】
0.03秒“制し”高品質に
0・03秒。アルミダイカストの品質は溶湯が金型に充填される、このわずかな時間でほぼ決まる。東芝機械は品質を35%改善するダイカストマシンを完成させた。ドライサイクルと呼ばれる成形動作の時間を25%短縮し、業界トップクラスの生産性を達成した。
開発責任者の阿部裕治ダイカストマシン技術部主幹は、生産性向上のカギに「型締め機構の電動化」を挙げる。しかも大幅な変更を加えずに電動、油圧のどちらの機構も搭載できるモジュール設計を採用した。生産性を高める電動式を基本にしながら、要望によっては油圧式を提案できる。ユーザーの選択肢を広げる設計だ。
また、離型剤を金型にくまなく塗布するのにも型締め機構の電動化が効いている。上部から下ろす噴射ノズルと最適な距離までダイプレートを近づけられるからだ。
一方、品質の引き上げは射出制御の見直しによる。ダイカストマシンは金型に充填する溶湯の量が品質のバラつく原因であり、「ダイカストマシンの長年の課題」(木下洋一ダイカストマシン事業部副事業部長)とされる。そこで湯量が一定でなくてもバラつきを抑える技術を開発した。ダイカストマシンは溶湯を金型に入れ、圧力をかけるのだが、この圧力をかける増圧のタイミングを自動で最適化する新制御だ。
高品質、高生産性を意識しただけでなく、環境性にも配慮した。省エネルギー性能は従来比約20%の改善だ。
さらに装置の前面と背面をカバーで覆うことで、油の飛散から作業者を守り、同時にデザイン性を高めている。
東芝機械は自動車向けを得意とし、ほぼ過半という圧倒的なシェアを誇ってきた。自動車は軽量化のためアルミダイカスト部品への置き換えが加速しており、各社の開発、販売競争が増している。その上、業界再編の兆しすらある。今は変革期にあると言えそうだ。
こうした中、東芝機械の開発部隊は0・03秒を“制した”。次は営業部隊を含めた全社一丸で業界を制する番だ。(六笠友和)
(2016/8/29 05:00)
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