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[ 科学技術・大学 ]
(2016/9/7 05:00)
京都大学ウイルス研究所の藤田尚志教授、加藤博己准教授らは、植物由来の高分子物質に、自然免疫を活性化し各種ウイルス感染の予防効果があることを発見した。高分子物質はピーマンと米ぬかから抽出できるため、実用化できれば人体への副作用が少ないとみられる。製薬会社や食品会社などと共同開発すれば、インフルエンザなど複数のウイルス感染を予防する点鼻薬スプレーや機能性表示食品などに応用できる。
マウスの細胞に今回の高分子物質を添加したところ、自然免疫に関係する遺伝子群が増加していた。さらに、あらかじめ高分子物質を経鼻投与したマウスにウイルスを感染させると、強い抗ウイルス活性を示した。これらの実験から該当の高分子物質は、体内の免疫力を上げることにより、ウイルスを防御しているとみられる。
実験の一例では、致死量の弱毒性インフルエンザウイルスに感染したマウス5匹に対し、水のみを与えた場合は8日目ですべて死亡したが、米ぬかから抽出した高分子物質を経鼻投与していた場合は、13日目に1匹死んだだけだった。
ほかに強毒性の鳥インフルエンザウイルスH5N1型や脳心筋炎ウイルスなど、複数のウイルスでも抗ウイルス活性を示した。マウスに長期間投与しても副作用はなかった。この高分子物質は日本で作られる約半分の品種のピーマンから抽出できる。日本米のほとんどの品種の米ぬかにも含まれており、特に皮の部分からよく抽出できるため、廃棄物を活用できる。
特許出願済み。従来技術では、さまざまなウイルス感染に対して共通に効果のある予防法はなかった。
(2016/9/7 05:00)
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