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[ 科学技術・大学 ]
(2016/9/27 05:00)
IoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)、自動運転時代に向けて、研究開発を大きく転換する三菱電機。オープンイノベーションにも積極的で、特に海外の大学や研究機関との共同研究の数はここ1、2年で約3倍に伸びた。
国内の研究所は東西に1拠点ずつあり、東の「情報技術総合研究所」では、人工衛星や光通信、セキュリティーなど幅広い研究を手がける。最近の研究のキーワードは“コンパクトさ”だ。三菱は組み込み機器に強く、機器に搭載できるよう技術を小型化することで、他社と差別化する。
自動車やロボットに組み込めるコンパクトなAIは、最新の主な成果の一つ。小型なAIであらゆる機器を賢くするのが狙いだ。自動運転の実用化に向け、AI技術であるディープラーニング(深層学習)を使った不注意運転の検出にも業界で初めて成功した。
有名な国際標準暗号「ミスティ」の例を出すまでもなく、三菱は暗号を筆頭にセキュリティーの研究も強い。近年は、利便性と安全性を両立するクラウド時代の暗号開発でリードする。ここでもコンパクト化により、多様な機器への組み込みを狙う。量子暗号の研究の歴史も長い。
宇宙の謎に迫る大型望遠鏡や各種衛星、宇宙ステーション向けなど、アンテナの研究開発では国内随一の専門部隊を持つ。最近は趣向を凝らし、災害時に情報を送ることを想定した、世界初の「海水アンテナ」を開発。海水を使って電波を送受信するという斬新な発想が話題を呼んだ。
オープンイノベーションと言えば、これまでは国内の大学や研究機関との連携がメーンだったが、今後は米国やドイツなどとの連携を強化する方針。「日本では1対1の連携が多いが、海外は複数の大学や企業と組むため、研究のレベルも幅も全く違う」とは、執行役員で同研究所の中川路哲男所長。技術に国境はない。世界を舞台に、優れた技術を持つ相手と貪欲に連携を模索していく。
(藤木信穂)
(火曜日に掲載)
▽所在地=神奈川県鎌倉市大船5の1の1▽電話=0467・41・2111▽主要研究テーマ=AI、自動運転、セキュリティー、レーダー、アンテナ▽研究者数=約600人
(2016/9/27 05:00)
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