- トップ
- 科学技術・大学ニュース
- 記事詳細
[ 科学技術・大学 ]
(2016/10/7 05:00)
早稲田大学理工学術院先進理工学部応用化学科の西出宏之教授と小柳津研一(おやいづ・けんいち)教授らは、水素をためた状態でも手で触ることができる素材「水素運搬プラスチック」を開発した。この素材を使用することで、水素を貯蔵したプラスチックをポケットに入れて持ち運ぶことも可能になるなど、安全性に配慮した。
研究グループは、プラスチックシートとして成形できる「ケトンポリマー」を水に浸し、マイナス1・5ボルトの電圧をかけると、水素が固定された「アルコールポリマー」が生成されることを明らかにした。さらに、このポリマーを80度Cで加温すると水素ガスを放出し、水素の固定と放出のサイクルを簡易に繰り返すことを突き止めた。
両ポリマーは、室温・大気下で長期保存できる。特別な装置が必要なく、身近な場所で水素が貯蔵できるため、地域分散型のエネルギーシステム構築が期待できる。
水素は高圧ボンベなどでの保管・運搬や爆発の危険など課題が多く、安全で効率良く水素を運搬できる素材の開発が望まれていた。
成果は英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに掲載された。
(2016/10/7 05:00)