[ ICT ]
(2016/10/14 15:00)
(ブルームバーグ)ソフトバンクグループは14日、テクノロジー分野への投資拡大を目指してファンドを設立すると発表した。総額は1000億ドル(約10兆円)規模となる可能性があるとしており、孫正義社長の投資が加速するとの見方が出ている。
発表資料によると、同社は今後5年で250億ドル(約2兆6000億円)以上出資する。サウジアラビアの政府系ファンド、パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)が最大450億ドルの出資を検討している。他にも複数の世界的な大口投資家が参加に向けて協議中という。
ソフトバンクは企業買収を通じて事業を拡大し、転換してきた。7月には英半導体設計会社アーム・ホールディングスの全株式を総額約240億ポンド(約3兆3000億円)で取得すると発表、さまざまな製品がインターネットにつながるIoT時代の中核会社となるとしていた。子会社には米通信会社のスプリントやヤフーを抱える。
「魅力的な大型案件があった場合には、容易に投資ができる」とミョウジョウ・アセット・マネジメントの菊池真最高経営責任者(CEO)は述べた。また60歳代での引退を公言する孫氏は「自分で自分の年を分かっている。悠長にやっていられないから、資金力をつけるために今回のアイデアということになった」と分析した。
最大級のプレーヤー
ファンドはソフトバンクの連結対象となり、ファンドの業績や資産・負債は連結財務諸表に反映される。ファンド設立は、ソフトバンク財務部門の責任者であるラジーブ・ミスラ氏が主導しており、元ドイツ銀行のニザール・ アルバサム氏、元ゴールドマン・サックスのパートナーのダリンチ・アリバーヌ氏も関わっているという。
孫氏は発表資料でファンドについて、「今後10年でテクノロジー分野において最大級のプレーヤーとなる」との見通しを示し、「出資先のテクノロジー企業の発展に寄与することで、情報革命をさらに加速」させる意向を示した。
ソフトバンクの7月の発表によると、ソフトバンクはこれまでに7398億円をインターネット企業に投資し、10兆1000億円の利益を得た。年平均の利回りを示す内部収益率(IRR)は44%に上る。また同社 ウェブサイトによれば、保有する上場株式の含み益は9兆3000億円に達している。
ミョウジョウ・アセット・マネジメントの菊池氏は、今回のファンドは出資者とソフトバンクの両方にとって利益があると指摘。出資者は高い運用利回りを得られ、ソフトバンクは少ないリスクで「魅力的な投資先の支配権が得られる」と述べた。
ソフトバンク株は一時、前日比3.7%高の6736円まで買われた。子会社のソフトバンク・テクノロジーも一時、20.4%高となった。
(2016/10/14 15:00)