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(2016/10/24 15:30)
日刊工業新聞社は日本RPA協会との共催により、電子版セミナー「テクノロジーで変わるホワイトカラーの働き方-労働生産性に与えるRPAのインパクト」を20日に東京ビッグサイトで開いた。人間が行っていた作業を代替する自動処理や人工知能(AI)、ビッグデータ解析といったテクノロジーの進歩によって、働き方がどう変わっていくのかについて議論が交わされた。
セミナーではまず、経済産業省商務情報政策局の佐々木啓介サービス政策課長が、ビッグデータやAIなどの利活用が進む第四次産業革命を踏まえた政策の方向性について基調講演した。生産年齢人口が減少し、サービス業などで人手不足が顕在化する中「ソフトウエアロボティクスを使いこなせば、業務で桁違いのスピード、低コスト化を実現できる。人手不足解消には必須のアイテムだ」と指摘。手作業が中心の一般事務などから創造的業務へのシフトが進み「スキル次第で勝負できる世の中になる」と予測し、従来の日本型雇用・教育システムに限界が来る可能性を踏まえ「就業構造変化をとらえた政策をパッケージでつくりたい」と働き方改革の実現に意欲を示した。
続いて登壇した日本RPA協会の田中淳一専務理事(KPMGコンサルティングパートナー)は「テクノロジーで変わるホワイトカラーの働き方 RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)・デジタルレイバーによる労働生産性へのインパクト」と題して講演を行った。田中氏はRPAの意義について「我々の調査では知的業務を行う人でも6割はルーティンワーク的な作業をやっている。RPAは、人がもっと知的な作業に集中して会社の力を伸ばしたり、労働人口の減少に対応するためのツール」と説明。従来システムとの違いについて「RPAでは例えば経費精算で交通費が高い理由をロボットが社員にメールで問い合わせたり、人と同じようにシステムにログインしてデータを取り出し、別のシステムにデータを移したりできる」と話した。
最後にパネルディスカッション「RPAで変わる組織、人材活用」が行われ、日本RPA協会から大角暢之代表理事(PRAテクノロジーズ社長)、田中専務理事の2人、事業会社から1人が登壇。RPAの導入事例について大角氏は「多いのはシステム開発から漏れた業務のロボット化。外部との受発注で物流や会計、決済などの複数のシステムをロボットが対応する例もある」と説明。
業務をRPAで置き換えた後の働き方について田中氏は、「派遣社員でも単純業務ばかりの会社には派遣されたくないという。現場で単純業務をやっていた人でもシステム化の仕組みを考えることやロボットの現場マネジメントなどはできると思う」とRPAと人との協働について見解を示した。
大角氏は締めくくりとして「RPAの厳密な定義はないがデジタルレイバーという言葉は共通言語。新しい労働力を無制限に作って雇用する『層』だと理解していくべきだ」と述べた。
(2016/10/24 15:30)