[ ICT ]
(2016/11/5 08:30)
(ブルームバーグ)米マイクロソフトの前最高経営責任者(CEO)スティーブ・ バルマー氏は、ハードウエア事業参入にかじを切った自身の決断がビル・ ゲイツ氏との関係が悪化した一因になったと振り返った。ゲイツ氏は同社創業者で長年の友人でもあったが、バルマー氏が唯一後悔しているのは、もっと早くやらなかったことだという。
14年間にわたりマイクロソフトCEOを務めたバルマー氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、もう一度全てをやり直せるとしたら、数年早くモバイル機器事業に参入しただろうと発言。最終的に参入を決めた当時、ゲイツ氏や取締役会の他のメンバーは異議を唱えたと明らかにした。
ゲイツ氏と「疎遠になった」のは、マイクロソフトが自らのハンドセットやタブレットを生産すべきかをめぐる不一致が一因だったと指摘。「われわれ2人のどちらにとっても、容易なことではまったくなかった。会社の戦略的な方向性について、意見にわずかな相違」があったと述べた。
さらに「ハードウエア事業の重要性について根本的な意見の相違があった」とし、「私はサーフェスを推した。取締役会はその支援にやや消極的だった。そのような時期に電話事業で何をすべきかが議論になり、状況が最高潮に達した」と語った。
マイクロソフトは2012年にタブレット「サーフェスRT」でハードウエア事業に参入。だが販売は振るわず、マイクロソフトは在庫評価損9億ドルの計上に迫られた。サーフェス事業は現在立て直されて黒字化し、直近の年度で40億ドル超の売り上げを生み出している。
バルマー氏はハンドセットやタブレットへの参入が遅すぎたことこそ誤りだったと指摘。「私ならもっと早くハードウエア事業に参入した。半導体、システム、ソフトウエアと分かれたパソコンで、われわれが持っているものはモバイルの世界でそれ自体が増えていくことはほとんどないと認識しただろうからだ」と続けた。
バルマー氏と言えば、アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」を、高過ぎて絶対に売れないと発言したことで知られる。この発言について、アップルが高い端末価格を「本質的に月々の通信費に組み込むというビジネスモデルのイノベーション」を果たしたとし、当時はこの手法を思いつかなかったと述懐した。
原題: Steve Ballmer Says Smartphones Strained His Relationship With Bill Gates(抜粋)
(2016/11/5 08:30)