[ オピニオン ]
(2016/11/11 05:00)
泡盛の逆襲―。沖縄県酒造組合(那覇市)が、そんなテーマを掲げて出荷拡大に取り組んでいる。具体策が「THE泡盛カクテル」選定。このほど公募レシピの中から大賞を決めた。
すりおろしたゴーヤーと泡盛、ライムをトニックウオーターで割る「58(ゴーヤー)カチャーシー」。苦みと酸味、甘みがバランス良く爽快な味だ。飲み方の新定番として、飲食店やホテルでの提供を通じて泡盛の認知を広げる。
「逆襲」の背景には業界の苦境がある。泡盛の出荷量は2004年の約2万7000キロリットルをピークに減少。15年は2万キロリットルを割り込んだ。「実情を知ってほしい」と異例の公表に踏み切った組合員の経営状況(14年度)は45社中15社が営業赤字だった。
17年5月には県内出荷の酒税の軽減が切れる。本土復帰した1972年から5年ごとに延長を繰り返してきた特別措置だ。組合幹部は「値上げを消費者に求められない」「業界は脆弱(ぜいじゃく)だ」と、再延長の必要性を主張する。
消費者の酒離れが進み、競争は厳しさを増すばかり。ただ、そこは他の酒類も同じはずだ。税の軽減を求めるだけの「逆襲」は困るが、せめて消費量は反転攻勢してほしいと、今夜も杯を傾けて微力ながら加勢する。
(2016/11/11 05:00)