[ オピニオン ]
(2016/11/10 05:00)
神戸の産業界に新しい風が吹こうとしている。国内で3番目に設立された伝統ある神戸商工会議所の第31代会頭に、検体検査機器・試薬で高シェアを持つシスメックスの家次恒会長兼社長が就任した。
過去50年にわたり、会頭職は地元大手の代表格である神戸製鋼所と川崎重工業、銀行出身者が占めていた。医療機器業界の新会頭は重厚長大からの変革を模索する神戸経済の象徴だ。
「医療産業都市を目指す神戸にはこの上ない指導者」(神戸経済同友会の高士薫代表幹事)、「慣例にとらわれずにざん新な発想で会議所を運営してほしい」(兵庫工業会の大西功一会長)。新会頭には他団体トップも期待を寄せる。
家次さんは町工場的な会社だったシスメックスを兵庫県内の時価総額首位(約1兆5000億円)の企業に育てた。もちろん会社経営と会議所の運営は違う。人口が減少し、製造業の雇用力が低下する神戸の活性化は難しい課題だ。
「いつの時代も港を起点に新しいものを取り入れ、新産業が生まれてきた」―。神戸が持つ国際性、ベンチャー精神、チャレンジ精神こそ発展の源と家次さんは語る。中小企業も巻き込みつつ新産業を育成できるかどうかが、神戸経済浮上のカギとなる。
(2016/11/10 05:00)