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[ 医療・健康・食品 ]
(2016/12/1 05:00)
《低被ばく化X線透視診断装置向け動画処理モジュール》
【患者負担少なく】
患者の体への負担が少ない低侵襲治療が脚光を浴びている。カテーテル治療や内視鏡治療など高度な医療技術の実現には、カテーテルや内視鏡の位置を正確に把握する高画質なX線透視像が不可欠だ。また患者や医療従事者への被ばく低減も求められている。
従来、X線画像の高画質化と低被ばく化は“トレードオフ”の関係にある。日立製作所の「低被ばく化X線透視診断装置向け動画処理モジュール」は、「画像処理技術により、高画質を維持しながら低被ばくを実現した」(研究開発グループの高野橋健太研究員)のが特徴だ。
内視鏡やカテーテルの動きに合わせてノイズを除去し、残像を抑える動き追従型ノイズ除去技術「MTNR(モーション・トラッキング・ノイズ・リダクション)」、時間的に前後のフレームを用いて「中間フレーム」を生成・補完し、X線の照射回数を低減する映像フレームレート補完技術「FRC(フレーム・レート・コンバージョン)」などの技術で構成する。グラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPU)を採用し、複雑な処理を高速に実現した。
【TVで技術培う】
これらの技術は「テレビで培った画像処理技術を透視像に適用できないかというのが開発のスタート」(研究開発グループの荻野昌宏主任研究員)だった。グループの技術を横展開し、開発期間の早期化にも寄与した。
研究は2012年に着手。改良を重ね、15年11月に同モジュールを搭載したX線透視診断装置を発売した。
「誰が見ても一目で分かるくらい従来品と画像の差がある」(ヘルスケアビジネスユニットの中村正主任技師)。見えづらかったものが見えるようになり、医療の質も向上した。高画質・低被ばくの両立は受注面でも追い風となり、同モジュールを搭載した装置の販売台数は約150台。既存機についても改良の問い合わせが100台近く来ているという。
【技術で応える】
治療技術は進展し、高画質化の要求も終わりがない。ヘルスケアビジネスユニットの天明宏之助企画員は「医療現場に足しげく通い、潜在的なニーズを製品にフィードバックしていきたい」と話す。これからも高度化するニーズに技術で応えていく。(編集委員・村上毅)
(2016/12/1 05:00)
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