(2016/12/1 14:00)
石油輸出国機構(OPEC)の減産合意は国内石油元売り各社の業績回復に向けた追い風になりそうだ。合意を受けた原油相場の上昇で、各社が備蓄する石油の在庫評価が改善するほか、石油・天然ガス開発事業の販売価格を押し上げる効果が期待できる。大手元売り各社は春先以降の油価上昇を受け、2016年12月期または17年3月期の連結決算業績予想で、各損益段階とも軒並み黒字回復や増益を見込んだ。油価の上振れで各社の収益改善も速まりそうだ。
元売り業界では減産合意で石油の需給調整ペースが速まることから当面、原油価格は1バレル=50ドル台半ばを目指す展開になるとの見方が強い。石油連盟の木村康会長(JXホールディングス=JXHD会長)は1日、減産合意は「原油市場の需給均衡早期化に向けた主要産油国の強い意志の表れだ」との談話を発表。原油価格は「(1バレル=)55ドルに向かって堅調に推移する」との見通しを示した。
元売り各社の業績はこの間、石油の備蓄品で油価低迷に伴う多額の在庫評価損を計上したためおおむね赤字となったが、足元では油価の底入れ・反転に伴って回復基調が鮮明になっている。減産合意を受けた油価上昇で在庫評価の改善がさらに進むほか、石油・天然ガス開発事業の収益も上向き、業績回復が速まる公算が大きい。JXHDは16年4―9月期連結決算を発表した11月上旬時点で、10月以降の原油価格が中東産ドバイ原油で1バレル当たり平均45ドルになると想定。油価がこれより5ドル上ぶれた場合、17年3月期連結決算で利益が460億円押し上げられると推計した。
1日の東京株式市場では、業績回復を織り込む格好で石油関連株が大幅高となった。 一方にはトランプ米次期大統領の経済・外交政策の行方などリスク要因もある。米国産シェールオイルの輸出動向や米追加利上げの動き次第では、原油安や為替のドル安・円高が進み、国内元売り各社の業績が下押しされる可能性がある。
(2016/12/1 14:00)