(2016/12/1 14:30)
原油の国内外相場が、石油輸出国機構(OPEC)総会での8年ぶりの減産合意を受け急反発した。1日、東京商品取引所のドバイ原油先物相場は前日比3920円高いキロリットル当たり3万6490円で取引を終え、年初来高値を更新した。ニューヨーク原油(WTI)先物相場も約1カ月ぶりの高値で推移。時間外取引で中心限月が一時、節目のバレル当たり50ドル台に乗せた。「事前に交渉決裂観測が強まっていたところに減産合意でまとまり、相場を押し上げた」(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部の芥田知至主任研究員)との見方が多い。
OPECは11月30日、ウィーンで開いた総会で、日量約120万バレルの減産で正式合意した。ロシアなど非OPEC産油国も同60万バレルの減産で協調する方針で、「OPEC側としては〝満額回答〟だったことからサプライズとなり、大幅に売り方の買い戻しが入った」(資源の価格リスクマネジメントコンサルタント会社、マーケット・リスク・アドバイザリーの新村直弘代表取締役)。
原油生産量は9月のOPEC臨時総会で合意した内容の下限である日量3250万バレルで決定された。各国の減産幅は、サウジアラビアが日量48万6000バレル、イラクが同21万バレル、UAE=アラブ首長国連邦が同13万9000バレルなど。一方、欧米の経済制裁が解除され生産拡大を目指すイランは、9万バレルの増産が認められ、合意に向けサウジアラビアが土壇場で大きく歩み寄った形となった。政情不安などで生産量を落としているナイジェリアとリビアも減産の適用外となった。
ただ、原油相場上昇は、「北米のシェールオイルの生産が回復する可能性がある」(芥田氏)。生産コストがOPEC勢より高い米国産シェールオイルは長引く原油安から生産が減少している。また、「トランプ次期米大統領がシェールオイル支援策を打ち出すとの見方も需給の緩みを意識させ、上値を抑える」(同)。
さらに、米国の12月の利上げ観測による金利上昇・米ドル高も、原油などドル建てで取引される国際商品(コモディティー)相場の割高感が高まり、圧迫材料となる。このため、原油相場の上昇幅は限定的との見方が多い。
(16時に更新)
(2016/12/1 14:30)