[ オピニオン ]
(2016/12/6 05:00)
米国で始まった「ブラックフライデー(黒字の金曜日)」商戦が上陸してきた。従来の「ボーナスセール」に加えて、これが日本に定着するだろうか。カギを握るのは、単なる“にぎやかし”ではなく、中身を伴ったセールにできるかどうかだ。
米国では11月の第4木曜日の感謝祭後の金曜日から、小売業は一斉にセールを展開する。クリスマス商戦の前哨戦であり、このブラックフライデーが商戦の行方を占う。
日本では企業や官庁のボーナス支給日が12月の第1、2週に集中していることから、その時期のセールが一般的だ。ただ今年は流通大手のイオンが11月25日から3日間、大々的に安売りセールを展開。外資系のカジュアル衣料専門店も同じようなセールを実施して、ボーナス支給日より一足早く、年末商戦に向けて気勢を上げた。
イオンがセールを予告する中でも、多くの小売業者は「お手並み拝見」を決め込んでいた。結果的にイオンのセール期間中の販売実績は、前年比で大きく伸びたという。いわば先手必勝となった形だ。消費者の節約志向は相変わらずで、財布のひもを緩めるのは難しいとされている中で、イオンのチャレンジ精神は称賛に値する。
しかし他の大手スーパーや百貨店、コンビニエンスストア、専門店などがブラックフライデーのセールを実施したら結果は分からない。相乗効果を発揮していたか、それとも買い場が分散していたかもしれない。
日本の流通業界が今後、ブラックフライデーを拡大して定着させるには、にぎやかしだけではいけない。来春には経団連などが主導する「プレミアムフライデー」が計画されている。毎月末の金曜日に企業が従業員に定時前の退社を促し、消費促進につなげる考えだ。だが、これも同じことがいえる。
消費者は質と価格を厳しく見極める目を持っている。流通が「安かろう悪かろう」の在庫処分セールに走ったら長続きはしない。消費者の志向と日本の生活習慣を生かしたセールを考えることが必要になるだろう。
(2016/12/6 05:00)
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