[ 政治・経済 ]
(2016/12/21 14:00)
(ブルームバーグ)さらば「根拠なき悲観」と言おう。
悲観論は2016年に頂点に達した。将来を全く楽観できなくなった投資家は、コストに見合った利回りを得られない政府債であってもそれに殺到した。
米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)の世界経済アドバイザー、ヨアヒム・フェルズ氏は、グリーンスパン元連邦準備制度理事会(FRB)議長が1990年代後半の活況の時代に用いた表現を引用し、「それは根拠なき熱狂の正反対だった」と指摘。経済成長はほとんど望めないと信じて「誰もが長期停滞論を崇拝していた」と語った。
そして今、17年が近づく中で、投資家やエコノミスト、政策当局者は事態悪化の可能性を思い悩むのではなく、世界経済の状況改善の可能性に一段と注目するようになりつつある。
陰鬱(いんうつ)なムードを解消したのは何か。世界は過去5年間、低成長のわなにはまっていた。だがその後、拡張的な財政政策や賃金の伸び加速、企業の設備投資拡大が相まって、わなから脱却できるとの期待が広がった形だ。
良きサプライズ
米ディシジョン・エコノミクスのアレン・サイナイ最高経営責任者(CEO)は「先行きのサプライズは、誰もが予想していたよりもはるかに良い時代かもしれない」と話した。
事の始まりは、米大統領選でのドナルド・トランプ氏の勝利と共和党の議会選挙圧勝で、大型減税実施と規制緩和の期待が高まったことだ。
国際通貨基金(IMF)チーフエコノミストを務め、現在は米ハーバード大学教授のケネス・ロゴフ氏は「米経済は極めて強力になるだろう」と述べた上で、「企業景況感は大いに高まる」との見通しを示した。
ヘッジファンド運営会社ブリッジウォーター・アソシエーツの創業者、レイ・ダリオ氏は19日のリンクトインへの投稿で、トランプ氏当選によって「アニマルスピリットに火が付く」可能性があり、「総じてディールメーカーのビジネスマン出身者が米政府の運営に当たる」ことになるため、投資家は大胆な変革を期待して当然とコメントした。
原題: Irrational Despondency Passé as World Economy Risks Tilt Up (1)(抜粋)
(2016/12/21 14:00)