(2024/12/24 05:00)
トランプ米次期大統領は、中国に強硬姿勢をみせる。しかし自国第一が行き過ぎると、中国に寄っていく国が増えないか。防衛研究所がまとめた「中国安全保障レポート2025」を読むと、そんな危惧が浮かぶ。
中国は近年、欧米主導で形成された国際秩序の多極化を狙い、発展途上国・新興国の取り込みを急ぐ。今回の研究報告は「台頭するグローバル・サウスと中国」を視点に中国の戦略を分析し、中国による現状変更の試みに警鐘を鳴らす。
グローバルサウス(南半球を中心とした新興・途上国)には人権問題を指摘される国があり、宗教も西側寄りではない国が少なくない。東南アジアで米国へのシンパシーが薄れていることも気がかりだ。
一方、グローバルサウスはイデオロギーより国益を重視する傾向があり、西側諸国が取り込む余地はある。世界の分断が深まる中、西側はグローバルサウスとの結束を経済で強め、結果として権威主義国の暴走抑止につなげたい。
ただ、戦争においてロシアに厳しく、イスラエルに寛容な米欧の二重基準にグローバルサウスは不信感を抱いている。トランプ氏がこの不信をさらに増幅させないか、こちらの行方も注視する必要がある。
(2024/12/24 05:00)