[ オピニオン ]
(2016/12/23 05:00)
政府は22日、一般会計総額が過去最大の97兆4547億円に達する2017年度予算案を閣議決定した。すでに成立している事業規模28兆円超の大型経済対策のための16年度第2次補正予算と合わせ、回復力の弱い国内景気の浮揚を期待する。
17年度予算案は、内容的に歯がゆさが残る。経済再生と財政健全化の両立という難題を解けず、どちらにも踏み込めない曖昧なものにとどまった。歳出抑制はさほど進まず、税収の伸び悩みから思い切った景気刺激策も講じられないジレンマに陥ったようにみえる。
財政当局は、一般歳出、社会保障関係費の伸びをそれぞれ5300億円、5000億円に抑える目標はクリアしたと説明する。だが、これは“低いハードル”に過ぎない。歳出の3割を占める社会保障関係費の洗い直しに、もっと踏み込む必要があろう。年金受給開始年齢の引き上げ、軽度な要介護者への支援のあり方、一般低所得者より消費水準が高い生活保護の受給水準見直しなど、課題は多い。
また最終局面の閣僚折衝で新たな歳出増を伴う施策が決まったが、これが都議会議員選挙など来年以降の政治日程を意識したものだとすれば残念だ。
足元の個人消費が停滞している背景には社会保障の持続可能性はじめ将来不安がいつまでも払拭(ふっしょく)されないことがある。その意味で、財政健全化の順守は景気対策にもつながるはずだ。
歳入面では、17年度の実質成長率1・5%を前提に税収増を見込んだ。だがトランプ米次期大統領の政策実現性など、世界経済の先行きは視界不良だ。税収が下振れれば追加の赤字国債が必要となる。その危険性は16年度予算より大きい。先送りした控除制度の見直しはじめ、所得税改革も急がれる。
政府は17年6月にも策定する新たな成長戦略では、これまで以上に構造改革に踏み込むと同時に現行の財政健全化計画も見直す必要があろう。名目国内総生産(GDP)600兆円の達成、20年度の基礎的財政収支黒字化を実現する確かな道筋をつけてもらいたい。
(2016/12/23 05:00)
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