[ オピニオン ]
(2016/12/23 05:00)
1年の仕事を振り返りつつ、反省と慰労でついつい酒が進んでしまう季節。夜更けの駅を千鳥足で歩くサラリーマンの姿は、年の瀬になると急に数を増すように思える。
ほろ酔いで「いい気分」と思っているのは本人ばかり。第三者から見れば足取りもおぼつかないままホームの端をフラフラしているわけで、安全確保の責任を負う駅の係員の苦労がしのばれる。
ホームからの転落や電車への接触の事故が後を絶たない。1日数十万人が利用するターミナル駅などでは、もはや人力だけで事故を防ぐのは難しいのが実情だ。そんな中で可動式ホーム柵(ホームドア)の有効性が改めて注目されている。
都市部を中心に整備が加速し、機器メーカーの商機にもなっている。政府は2020年度までに設置駅を800駅に増やす方針を掲げる。ただ鉄道会社の投資負担は重く、事故の未然防止のためには国や自治体の支援策の充実が期待される。
間もなくクリスマス。家で待つ家族に、思わぬ悲報をプレゼントするようでは情けない。ハードウエアにすべてを頼るのではなく、利用者の安全意識を高め、飲み過ぎを防止することも大事だろう。連休明けにまだ忘年会の予定がある自分も、努めて自戒したい。
(2016/12/23 05:00)