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[ 科学技術・大学 ]
(2017/1/16 05:00)
産業技術総合研究所は筑波大学と共同で、不揮発性メモリーの一種である抵抗変化メモリー(ReRAM)の挙動を電流ノイズから解明することに成功した。幅広い電流の範囲でノイズを計測する手法を開発し、ReRAMが100ナノアンぺア(ナノは10億分の1)の低消費電力で動作することを明らかにした。振動や温度差などを利用した環境発電、人工知能(AI)などへの不揮発性メモリーの応用につながる。ReRAMでは、酸化物層に含まれる酸素の欠損が材料の電気抵抗値に影響し、メモリーの低消費電力化に重要な役割を果たすことが予想されていたが、その具体的な挙動は明らかになっていなかった。
今回、低消費電力動作と、従来の動作モードを同一構造の素子で選択できる新構造のReRAMを開発した。さらに、素子中を流れる電流の分布を可視化する電子ビーム吸収電流測定と電流ノイズ測定を行い、ReRAMが低消費電流で動作する際の挙動を調べた。
これで酸素欠損と電気的特性との相関が明らかになった。酸素欠損を精密に制御することで、ReRAMのさらなる低消費電力化や高信頼化が見込める。
科学誌サイエンティフィック・レポーツ電子版に掲載された。
(2017/1/16 05:00)