[ 政治・経済 ]
(2017/1/17 22:30)
【ロンドン時事】メイ英首相は17日の演説で、欧州連合(EU)との離脱交渉で経済関係の維持より移民制限を重視する「ハード・ブレグジット(強硬な離脱)」の方針を鮮明にした。英国がEU単一市場からも出れば、企業にとっては、英国を拠点にした欧州事業に支障が出る恐れがある。英政府は企業の海外流出を防止するため、法人税の大幅減税を腹案に「必要なことは何でもする」(ハモンド財務相)構えだ。
これまで英政府は、EUとの離脱交渉にどういう戦略で臨むか説明してこなかった。昨年6月の国民投票後も、閣内では残留派と離脱派のせめぎ合いが続いたからだ。しかし、決断を先送りすれば企業の投資・雇用計画に悪影響を及ぼしかねないと判断。メイ首相は交渉前に自分の手の内を明かす異例の対応に出た。
首相は演説で、単一市場を脱退した上で、EUと自由貿易協定(FTA)などを結んで通商関係を維持する考えを明言。しかし、FTAは単一市場に比べ制限が大きい。これを機に在英企業の移転模索が本格化しそうだ。
一方、ハモンド財務相はドイツ紙とのインタビューで「EU市場への参入権を失えば、英国は経済モデルを変えて競争力を高めるしかない。英国はじっとしていない」と強調。なりふり構わぬ大幅減税や規制緩和、自由貿易の推進を通じて企業を英国に引き留める考えをほのめかした。
(2017/1/17 22:30)