[ 政治・経済 ]
(2017/1/17 23:00)
【ブリュッセル、ベルリン時事】メイ英首相が17日の演説で、欧州連合(EU)単一市場から脱退する方針を表明したことについて、移民制限を優先する「ハード・ブレグジット(強硬な離脱)」の可能性に備えてきたEUは「想定内」と冷静に受け止めている。ただ、英国に続く離脱国の出現を「予言」したトランプ次期米大統領が英国と急接近し、EUを揺さぶる事態に警戒感が高まっている。
ドイツのシュタインマイヤー外相は演説内容について、「英国の計画がようやく少しはっきりした」と評価。その上で、EU加盟27カ国の結束を強め、欧州域内市場を維持していく重要性を強調した。
EUは離脱決定直後から、英国が移民流入を制限するならEU単一市場へのアクセスを認めない方針を示し、「いいとこ取り」をけん制してきた。英国に妥協すれば、これに倣う国が相次ぐ「離脱ドミノ」が起きかねないからだ。
トランプ氏が英紙タイムズなどに対し、「(英国以外の)他の国々も離脱するだろう」と離脱を促すような発言をしたことで、EU内で「トランプリスク」が急速に台頭している。トランプ氏は、英国と早期に貿易協定を締結する意向も示し、英国を支援する姿勢を明確にした。
これに対し、モゲリーニEU外交安全保障上級代表(外相)は16日、「EUは今後も結束すると100%確信している」と強調。フランスのオランド大統領も「部外者の助言は要らない」と不快感をあらわにした。
(2017/1/17 23:00)