[ 政治・経済 ]
(2017/1/29 08:30)
米国のトランプ大統領が27日、難民の受け入れやイスラム教徒が多数を占める7カ国の国民の入国を停止する大統領令に署名したことが米国のIT大手に波紋を広げている。ブルームバーグニュースが入手したグーグルのスンダー・ピチャイCEOの社員宛てのメモによれば、「100人以上の社員が影響を受ける」といい、大統領令の条件に当てはまり、出張や旅行で米国外にいる社員は即時帰国するよう通達を出した。フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOも同日、自身のフェイスブックに「(トランプ大統領の移民制限の動きを)懸念している」と書き込んだ。
トランプ大統領が国防総省で署名した大統領令では、テロ対策のためシリア難民の入国を期限を設けずに禁止し、それ以外の国からの難民の受け入れを120日間停止。また、イスラム教徒が多数を占めるシリア、イラク、イラン、スーダン、ソマリア、イエメン、リビアの7カ国の国民の入国を90日差し止める。この大統領令に基づき、国土安全保障省は27日午後、税関国境警備局に対して直ちに執行するよう発令した。
グーグルのピチャイCEOはメモの中で、「大統領令によって、我々の同僚が個人的な負担を背負わされるのを見るのはつらいことだ」と胸の内を明かした上で、「これまでも移民問題について我々の見解を明らかにしてきたが、今後もそうした活動を続けていく」と強調した。
グーグルの広報担当者も声明で、「大統領令およびその他の提案の影響で、グーグル社員とその家族に制限が課される恐れがある。優秀な人材を米国に呼び込む上での障壁ともなり、懸念を深めている」と訴えた。
フェイスブックのザッカーバーグCEOは自身のフェイスブックへの投稿で、自分と妻のプリシラ・チャンさんがそれぞれ移民および難民の子孫であることに触れながら、「米国は移民に対してオープンであり続けるべきだ。特に、親に連れられて小さい時に入国した証明書なしの移民のように、脅威を及ぼさない人たちは排除の対象にすべきではない」と、トランプ政権の移民制限策にあらためて反対した。
一方、ネットメディアのThe Vergeは、アップルのティム・クックCEOが28日付で社員に宛てたメッセージを入手したと報じた。その中で、同CEOは「アップルは移民なしには存在しないし、それどころか繁栄することもイノベーションを生み出すこともできない」とし、「(大統領令は)我々が支持する政策ではない」と断じている。
(2017/1/29 08:30)