【電子版】米大統領令に行政も反旗、混乱拡大―司法省トップ、即時解任劇

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  米次期司法長官のジェフ・セッションズ氏（ＡＦＰ＝時事）

【ニューヨーク時事】トランプ米大統領は３０日、イスラム圏７カ国出身者の一時入国などを禁止した大統領令の擁護を拒否したイエーツ司法長官代行を解任した。大統領令の無効化を求める動きが全米で広がる中、法廷の場で政府側の立場に立つ司法省トップにまで混乱が広がった。大統領令への抗議は、議会、司法に続き、行政にも波及しており、日を追うごとに混乱は深刻化している。

イエーツ氏は、オバマ前政権下で任命。トランプ氏が次期司法長官に指名したジェフ・セッションズ氏が上院で承認されるまでの間、司法長官代行を務める予定だった。米メディアによれば、セッションズ氏は週内に上院で承認される見通しで、新長官の就任を目前に控えての反旗だった。

３０日夕、米主要メディアは一斉にイエーツ氏が司法省の顧問弁護士に宛てた書簡を報じた。イエーツ氏は書簡で「大統領令が合法であると確信が持てない」と疑問視。「私が司法長官代行である限り、擁護が適当と確信するまで、司法省は大統領令を擁護する答弁を行わない」と命じた。

トランプ大統領は即座に反応し、この数時間後には解任を発表。解任の声明は「危険な７カ国からの個人に対する厳格な審査は行き過ぎではない」と改めて大統領令の正当性を訴えた。

複数の米メディアは、ウォーターゲート事件の渦中にいたニクソン大統領（当時）が１９７３年、事件の特別検察官を解任する過程で、解任を拒否した司法長官と司法副長官が辞職した「土曜日の夜の虐殺」に今回の解任劇をなぞらえ、「月曜日の夜の虐殺」と大々的に報じている。

トランプ氏は、イエーツ氏の後任にバージニア州のデイナ・ボエンテ検事を任命した。ボエンテ氏は声明で「国民と国家が守られるように法律を執行し、擁護する」と述べ、大統領令に従う考えを示した。

一方、トランプ氏は、イエーツ氏の解任直後、移民税関捜査局（ＩＣＥ）のラグズデール長官代行を解任した。理由の説明はないが、ラグズデール氏も大統領令に反発していたという報道がある。国務省では１００人以上の職員が集団で抗議する計画があり、大統領令への抗議は収まる気配がない。