[ 政治・経済 ]
(2017/2/3 05:00)
10日に予定される日米首脳会談に先立ち、安倍晋三首相とトヨタ自動車の豊田章男社長がきょう会談する。トランプ大統領が日米自動車貿易を不公平と非難しており、誤解を解くためのいわば“作戦会議”だ。現地生産を拡大してきた日系メーカーの米自動車産業への貢献や日本の新車市場の外資に対する透明性などを説明する見通し。ただ、北米自由貿易協定(NAFTA)見直しなどにより戦略修正を迫られる公算は大きい。
今回の首脳会談でトランプ大統領が論点にするのは「円安誘導」や軽自動車優遇税などの「非関税障壁」とみられる。自動車に限れば「日本車の対米輸出分を現地生産に切り替え、アメ車を日本で売る」という単純な構図ととれる。
もともと日系大手は“地産地消”を原則としており、対米輸出は為替リスクや販売機会損失などを考慮したバッファーといえる。この流れは変わらないだろう。懸念はNAFTA見直しや、日系メーカーを狙い撃ちにしたような政策転換だろう。
■世界各地の「町一番」に−豊田社長
トヨタ自動車の豊田章男社長は2日、安倍晋三首相と3日に会談するとの報道を受け「我々は(世界各地の)それぞれの工場、それぞれの販売店が『その町一番』になってくれればといいとずっと言ってきた。もし会えるなら、そうした我々の基本的な思いを伝えたい」と語った。都内で開いたトヨタのモータースポーツ活動発表会のあと記者団に語った。
トランプ大統領は日本との貿易不均衡を問題視している。豊田社長は「(自動車摩擦が起こった)1980年代のトヨタの状況と17年のトヨタの状況では大きく変わっている」とし、現地生産が拡大してサプライチェーンが育ったことを強調した。
セダン「カムリ」などは、「米国の顧客のために米国の工場で米国の従業員がつくっている」とした上で「ブランドは日本かもしれないが、我々も米メーカーの一つではないかということは理解してほしい」と訴えた。
NAFTAの見直しについては「ルールが変わるのであれば、そのルールに合わせた形で、またさらに企業努力をしていきたい」と述べた。
■日本車メーカー、米で150万人雇用
日本車メーカーは、1980年代の日米貿易摩擦を経て米国への現地生産を拡大した。日本自動車工業会によれば現在、日本車メーカーは米国で26の工場と36の研究開発拠点を展開しており150万人の雇用を生み出している。2015年には米国生産の約3割に当たる390万台の車両を生産し、460万基のエンジンを作った。
米国市場は16年、過去最高を更新した。高水準の市場規模は当面持続するとみられ、需要に応じた投資が必要だ。1月、デトロイトで開いた北米国際自動車ショーで、トヨタ自動車の豊田章男社長は今後5年間に米国で100億ドルを投資する計画を表明。このうち約6億ドルをインディアナ州の工場に投じ生産能力を増強する。日産自動車も米国を含めた北米地域の工場がフル稼働状態で、カルロス・ゴーン社長は「北米地域で能力増強しないといけない」としている。
(2017/2/3 05:00)
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