[ 機械 ]

第59回十大新製品賞/本賞−ヤマザキマザック「横形マシニングセンタ FF-5000/40」

(2017/2/7 05:00)

  • 横形マシニングセンタ FF―5000/40と開発陣

【横形マシニングセンタ FF―5000/40】

ヤマザキマザックにとって中国市場の得意先のひとつが自動車産業。そこから自動車部品加工向けに特化した専用機を求める要望が来ていた。それも「できるだけ小さなものを」という声だ。

以前は大きな機械が受け入れられた中国市場も、現在は工場の地価が上がり、面積生産性を重視している。ゆえに開発にあたってのテーマは「省スペースになる機械にすることだった」と山本亨上席執行役員技術本部副本部長は振り返る。

小ささと生産性の追求。その鍵になるのは軽さと剛性の両立だった。相反する二つの要素を成り立たせるのに、構造体の形状やリニアガイドの配置など「トライアンドエラーを繰り返して、最適なところを探った」(有末賢次技術本部商品開発2部グループリーダー)。

例えば、主軸が先に突き出すZ軸の精度の確保。軸が伸びると重力でわずかに先が垂れる。それを避けるため、当初は3本のリニアガイドで軸を保持しようとしたが、重量増で断念。かわりに「垂れる量を想定し、その分の数十マイクロメートル(マイクロは100万分の1)をわざと反り上がらせた」(同)。

自動車産業の顧客は保守を自前ですることが多く、保守性を高めるのも課題だった。メンテナンスがしやすいよう制御盤の位置を従来から変更したが、機械の小型化と相まって配線ルートが全く変わった。「動力線や信号線を最短ルートでつなぐのに苦労した」と田中利明技術本部制御開発1部グループリーダー代理は打ち明ける。

アルミ部品を量産するため、大量に出る切り粉の処理も重要なポイント。加工室内に出っ張りがあれば、そこに切り粉の山ができる。切り粉を洗い流すクーラントについては、噴出するノズルを排除。加工室内の横壁にクーラントを上から伝うようにして幕を張る「壁面クーラント」をあみだし、切り粉の排出性を高めた。

ダウンサイジングの潮流が大きい自動車産業では、工作機械も小ささが求められてきている。マザックは今回の開発で得た小型化のノウハウで、市場の流れをつかむ考えだ。

(名古屋・江刈内雅史)

【製品プロフィル】

自動車部品の量産ラインに適した省スペースの横型マシニングセンター(MC)。通常は機械の横に置く工具マガジンを機械上部に配置して機械幅を抑えた。主軸の早送り速度、早送り加速度をクラス最高レベルに高め、非切削時間を短縮して生産性も向上。切削点の真下に切粉排出口を設ける構造にするなど切粉の排出性を良くし、加工エリア内の切粉堆積を防止した。

(2017/2/7 05:00)

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