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[ 科学技術・大学 ]
(2017/2/27 05:00)
千葉大学大学院工学研究科の下馬場朋禄准教授、伊藤智義教授らの研究チームは、光の干渉や回折を利用して物体を3次元画像で表現するホログラムを、世界最速で計算して再生する手法を開発した。アルゴリズムの改良で計算量を大幅に減らし、パソコンによる計算で、一般的な手法に比べて約2万倍高速化した。ホログラフィー技術で立体動画を再生する3次元ディスプレー(ホログラフィックディスプレー)の実用化が近づく。
開発した手法では、100万点(1000×1000画素)の複雑な3次元物体を再生したシミュレーション実験において、特殊なハードウエアを使わずに計算時間を0・5秒に短縮した。従来手法では約1万秒かかっていた。ホログラフィックディスプレーは特殊なメガネがいらず、両眼・運動視差、目の焦点調節、輻輳(ふくそう)などの点で違和感のない立体像を表示可能。立体知覚の条件を全て満たすため“究極の立体ディスプレー”といわれる。ディスプレー装置開発が進む一方で、ホログラムの再生に膨大な計算が必要なことから、計算の高速化が実用化のカギになっていた。
下馬場准教授らは今回、「ウェーブレット変換」と呼ばれる画像処理の手法をホログラムの計算に応用。ホログラムの再生に十分な、上位数%の強度の高い信号だけを取り出して計算に利用することで、計算量を約100分の1に減らした。さらに、ホログラムと3次元物体の間に仮想面を設けることで計算領域を狭める手法「波面記録法」と組み合わせて、高速化した。
今後、演算性能を高められるグラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPU)などを採用すれば、さらに20―30倍の高速化が可能。ホログラムのアニメーションやゲームなどへの応用が広がる。
(2017/2/27 05:00)