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[ 科学技術・大学 ]
(2017/3/3 05:00)
東京工業大学工学院の松永三郎教授らは、天体の爆発や衝突などで突発的に現れた現象を検知し観測する50キログラム級の超小型衛星「ひばり」を2016年から開発している。近年、天体の爆発や衝突により、時間と空間のひずみが波のように伝わる現象「重力波」を出す天体(重力波天体)を知りたいというニーズが増えている。ミッションでは、重力波天体が放出すると予測される近紫外線などの光を観測する。
観測には突然現れる天体の精密な位置を設定し、姿勢を変える必要がある。だが姿勢制御には多くの電力を消費し、素早く姿勢を変更し“ぴたり”と止めることは難しい。
そこで4枚の太陽電池パドルにそれぞれモーターを取り付けることによって向きを変更する仕組みを採用。高速で安定的な姿勢変更を可能にした。松永教授は実証技術について、「地球を観測するリモートセンシング用の衛星の姿勢制御技術として役立つかも知れない」と話す。
すでに松永教授らは、突発的に天体が爆発した際に赤外線やX線などを放出する現象を観測するため、地球・天体観測技術実証衛星「TSUBAME」(つばめ)を開発していた。14年に打ち上げられ軌道投入したが、約3か月で通信系の故障などを起こしたため、やり残した実験が数多く存在する。
つばめの後継機として、ひばりには今までの開発の知見を盛り込む。松永教授は「素早く安定な姿勢制御技術を実証し未知の天体の観測につなげたい」と期待をかける。(冨井哲雄)
(金曜日に掲載)
(2017/3/3 05:00)
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