[ 政治・経済 ]
(2017/3/10 12:30)
【ソウル時事】韓国の朴槿恵大統領の弾劾訴追を審理していた憲法裁判所は10日、弾劾を正当と認め、朴氏の罷免を全員一致で決定した。弾劾による失職は韓国史上初の事態。60日以内に大統領選が実施され、5月9日が有力視されている。
憲法裁は「朴大統領が(親友の)崔順実被告の国政介入を徹底的に隠した」と断じ、「私益追求を支援した」と指摘。「憲法違反、法律違反行為が在任期間全般にわたり持続的に行われた」と批判した。
朴氏をめぐっては昨年10月、崔被告に演説草稿などが提供されていたことが発覚し、崔被告が国政や人事に介入していた疑惑が続出。検察は11月、崔被告らを職権乱用などで逮捕、起訴し、朴氏も「共謀関係にあった」として立件した。朴氏の退陣要求集会が毎週末開かれ、民主化後最大規模に達するなど国民の反発が強まる中、国会は12月9日、弾劾訴追案を圧倒的多数で可決、朴氏は職務停止に追い込まれた。
今年2月にはサムスングループの事実上のトップ、サムスン電子副会長の李在鎔被告が崔被告らへの贈賄容疑で特別検察官に逮捕、起訴され、朴氏も収賄の共犯として立件された。
憲法裁は所長を含む9人で弾劾審理を開始したが、所長が1月末に退任したため、8人体制で判断することになった。罷免には6人の賛成が必要。国会側は朴氏の職務遂行に関し、崔被告の国政や人事への介入を許すなど「重大かつ広範な憲法違反があった」と主張した。朴氏側は「国政には関与させていない」と反論。サムスングループなどからの収賄疑惑についても、全面否認していた。
民間機関リアルメーターが今月8日に実施した世論調査では、76.9%が弾劾を支持、反対は20.3%。賛成、反対両派が毎週末に大規模集会を開くなど、世論の分裂が浮き彫りになっている。
(2017/3/10 12:30)