社説/新たな成長軌道(2)「40年」見据えて“攻めの経営”を

(2025/1/7 05:00)

日本経済をいかに「新たな成長軌道」に乗せるか。不確実性が高まっている時だからこそ、足元の短期的な利益ばかりに目配りせず、中長期の視点も併せ持ちたい。「2040年」を見据え、経済産業省は中長期的な経済産業政策を推進し、経団連は24年12月に40年に向けた政策提言をまとめた。この15年間で日本経済を再生し、「失われた30年」を確実に取り戻したい。

経産省は24年6月、日本経済が進むべき将来見通しをまとめた。産業構造審議会(経済産業政策新機軸部会)第3次中間整理によると、「失われた30年」が今後も続けば、日本は40年ごろに新興国に追い付かれる。一方、23年度設備投資が30年ぶりに100兆円を超え、賃上げ率も24年に33年ぶりに5%超だった「潮目の変化」も指摘する。

この機を捉え、短期の企業価値向上ばかりでなく、国内投資とイノベーションの加速を訴える。政府も大規模・長期・計画的に投資し、予見可能性を高めて企業を後押しするという。企業は“攻めの経営”への意識改革が強く求められる。魅力ある国内市場に再生できれば、外資の対日投資も促され、円の購買力を高める効果も期待できる。

経団連の政策提言「フューチャー・デザイン2040」は分厚い中間層の形成と、成長分野での官民連携の必要性を指摘する。現役世代の負担を軽減し、富裕層に課税強化する社会保障制度改革は、国内総生産(GDP)の過半を占める個人消費の押し上げ効果を期待できる。

成長戦略ではイノベーションの重要性を訴え、政府の先行投資で民間投資を喚起するよう求めた。経産省の政策と合致しており、半導体をはじめ成長分野での官民連携をテコに、成長型経済を定着させる必要がある。

24年の世界の時価総額で、トップ50に入ったのはトヨタ自動車だけだった。米IT企業「GAFAM」のような世界的巨大企業が日本に存在しない。経団連は成長産業の一つとしてエンタメ・コンテンツに注目する。同産業の売上高は鉄鋼や半導体の輸出額に比肩する。新たなけん引役の登場にも期待したい。

(2025/1/7 05:00)

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