産業春秋／「辰巳天井」もトランプ政策など不安

２０２５年は、相場格言によると「辰巳（たつみ）天井」の年に当たる。辰年と巳年の株価は天井まで上昇するという経験則らしい。巳年の２５年も、辰年の２４年に引き続いて株価の高騰を期待できるのか、どうか。

辰年の２４年は、まさに格言通りの相場展開だった。同年２月には、１９８９年１２月に付けた史上最高値３万８９１５円を３４年ぶりに更新。７月には４万２０００円を超え、天井を突き破る勢いだった。

株価の上昇には悩ましい面もある。株を押し上げる円安は、一方で輸入物価を上昇させるため、実質賃金の改善にはマイナスに作用する。足踏みが続く個人消費を上向かせるには円安是正が求められる。ただ株価上昇は資産効果から消費が拡大するとも言われ、話がややこしい。

さて２５年。株価を左右する材料に事欠かない。１月はトランプ米大統領就任、日銀の金融政策決定会合、通常国会では２５年度政府予算案の行方が焦点になる。中でも、トランプ氏の言動に為替も株価も振り回されないか心配だ。

２５年の春季労使交渉（春闘）の行方も気になる。人手不足を背景に高めの上昇率が期待されるが、懸念は中小企業。価格転嫁がしっかり行われるか、株式市場も気にしている。