[ 科学技術・大学 ]

情通機構、地デジで水蒸気量測定−ゲリラ豪雨など予測精度向上へ

(2017/3/16 05:00)

  • 開発した計測システム(情通機構提供)

情報通信研究機構は、地上デジタル放送の電波(地デジ放送波)を使った水蒸気量の推定手法を開発した。ピコ秒(ピコは1兆分の1)の精度で電波の伝搬遅延を計測できるようにし、ソフトウエア無線技術を用いて水蒸気量を測れる小型で安価なリアルタイム測定装置を開発した。ゲリラ豪雨などの局所的な気象現象の予測精度の向上が見込める。

米科学誌レディオ・サイエンスに掲載された。

電波は大気中の水蒸気量によって伝わる速度が変わるため、その変化量を精密に測定することで水蒸気量が推定可能。情通機構電磁波研究所の川村誠治主任研究員らの研究チームは、地デジ放送波から電波の伝搬遅延を求める手法を考案した。

地デジ放送波を受信するだけで計測でき、新たな送信機などは不要。分解能が高く、1秒―30秒ごとに水蒸気量を観測できる。最も水蒸気の多い地表付近を水平方向に観測するため、既存の鉛直方向の観測手法を補える。

水蒸気量の推定値を天気予報の数値予報モデルに導入して解析すれば、ゲリラ豪雨など都市部の局所的な気象現象の予測精度の向上につながる。今後、関東地域を中心とした実利用に向けた実証実験を行う。

雨の元になる水蒸気の量は、気象予報にとって重要な情報だが、レーダーなどでは観測できないため、広い範囲にわたって効果的に観測する手法が限られていた。

(2017/3/16 05:00)

関連リンク

科学技術・大学のニュース一覧

おすすめコンテンツ

「現場のプロ」×「DXリーダー」を育てる 決定版 学び直しのカイゼン全書

「現場のプロ」×「DXリーダー」を育てる 決定版 学び直しのカイゼン全書

2025年度版 技術士第二次試験「建設部門」<必須科目>論文対策キーワード

2025年度版 技術士第二次試験「建設部門」<必須科目>論文対策キーワード

技術士第二次試験「総合技術監理部門」択一式問題150選&論文試験対策 第3版

技術士第二次試験「総合技術監理部門」択一式問題150選&論文試験対策 第3版

GD&T(幾何公差設計法)活用術

GD&T(幾何公差設計法)活用術

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

Journagram→ Journagramとは

ご存知ですか?記事のご利用について

カレンダーから探す

閲覧ランキング
  • 今日
  • 今週

ソーシャルメディア

電子版からのお知らせ

日刊工業新聞社トピックス

セミナースケジュール

イベントスケジュール

もっと見る

PR

おすすめの本・雑誌・DVD

ニュースイッチ

企業リリース Powered by PR TIMES

大規模自然災害時の臨時ID発行はこちら

日刊工業新聞社関連サイト・サービス

マイクリップ機能は会員限定サービスです。

有料購読会員は最大300件の記事を保存することができます。

ログイン