[ 政治・経済 ]
(2017/3/16 13:30)
(ブルームバーグ)トランプ米大統領が 自動車メーカーに対し、あからさまな交換条件を提示している。環境基準の緩和と引き換えに、雇用の拡大を求めるというものだ。
トランプ大統領は15日、ゼネラル・モーターズ(GM)とフォード・モーター、フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)の最高経営責任者(CEO)に対し、「雇用について、君たちは戻ってきてわれわれに大きな数字を提示する必要がある」と述べ、オバマ前政権が維持することを決めた燃費規制は「自動車業界をさらに破壊していただろう」と指摘した。
オバマ前政権と自動車業界は、2022-25年モデルの車両について定めた燃費基準が実行可能かどうかを18年4月までに判断することで合意していたが、環境保護局(EPA)が自動車業界に協力せず、前政権の任期終了間際に検討の迅速化を決めたことに業界側が反発していた。トランプ政権の方針に基づき、前政権と自動車業界が合意していた当初のスケジュールに戻す。
トランプ政権がオバマ政権時代のEPAの決定を覆す動きは、GMやトヨタ自動車、独フォルクスワーゲンにとって勝利となる。自動車メーカーは前政権が打ち出した環境基準を市場の現実にそぐわないと主張していた。
GMの雇用計画は「取るに足らない」と一蹴
トランプ大統領は訪問先のデトロイト近郊で見直しを発表した。GMはその機会を捉え、ミシガン州のトランスミッション工場で220人を新規採用する一方、スポーツタイプ多目的車(SUV)工場でレイオフされた社員を一部充てることで680人の雇用を同州で維持する計画を 発表した。GM広報のパット・ モリシー氏によると、採用はトランプ氏の就任前から予定されていた。
トランプ大統領はGMの雇用発表について、「『取るに足らない』と彼らに言ってやった」と集まった労働者を前に発言。「もっと採用させる。彼らは新たな工場を建設し、工場を拡張する。私の政権は業界を締めつける規制の撤廃、雇用を抑制する税の引き下げ、全ての米企業と労働者のための条件を公平にすることに粘り強く取り組む」と語った。
トランプ氏は自動車業界の幹部らとの会合で、トヨタ自動車に米国で車を生産するようあらためて求めた。北米トヨタのジム・ レンツCEOとのやり取りで、「新工場をここに建設しなければならない」と大統領が話す模様が、ホワイトハウスの公式ユーチューブのページに掲載された 動画で伝えられた。トヨタの広報担当の土井賀代氏から現時点でコメントは得られていない。
原題: Trump Demands Auto Jobs After Signaling Fuel Economy Relief (2)(抜粋)
(2017/3/16 13:30)