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[ 科学技術・大学 ]
(2017/3/27 05:00)
カネカは東京大学の酒井康行教授と共同で、ヒトiPS細胞(人工多能性幹細胞)を高効率に大量培養する技術を開発した。大量培養に向く浮遊培養の課題とされていた、細胞の適度な大きさの凝集塊を作成することに成功。凝集塊を三角フラスコや培養バッグなどの一般的な培養容器で10億個以上のヒトiPS細胞を培養できる。
ヒトiPS細胞を適度な大きさの凝集塊に抑制する脂質類を新たに発見し、iPS細胞を容易に大量培養できるようにした。
この脂質類を微量添加した培地に、単細胞状態のヒトiPS細胞を混ぜて、穏やかに揺らしながら培養するだけで適度な大きさの凝集塊になる。
ヒトiPS細胞は単細胞状態では浮遊培養で増殖できないため、細胞同士を集めて適度な大きさの凝集塊を作成する必要がある。その際、培養中にかき混ぜる速度が速いと物理的ダメージで細胞が死んでしまう。一方、かき混ぜる速度が遅すぎると凝集塊が大きくなり過ぎ細胞が培養できないという課題があった。液体培地中で細胞を浮遊させて培養する浮遊培養は、平面培養と比べてコストを約3分の1、作業時間を約10分の1に削減できる。
(2017/3/27 05:00)