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[ 科学技術・大学 ]
(2017/3/27 05:00)
金沢大学医薬保健研究域薬学系の稲垣冬彦准教授らは、排ガスや大気中の二酸化炭素(CO2)だけを吸収し、加熱するとCO2ガスを放出する新規材料を開発した。従来のCO2吸収剤は、CO2のほか水分も吸収していた。火力発電所や工場から出る排ガス中のCO2だけを吸収・放出する素材としての利用や、充填不要なCO2ガスボンベの開発などにつなげていく。
研究グループは、水に溶けにくい性質を持つ「フェニル基」を「アミン吸収剤」に導入。CO2を吸収する速度や、CO2と水の吸収選択性について調べた。その結果、市販の化合物「メタキシリレンジアミン」や関連化合物が空気中の水分を一切吸収せず、CO2だけを取り込むことを発見した。
さらに、一般的なCO2吸収剤からCO2を放出する際と同程度の約120度Cに加熱すると、吸収したCO2だけを放出することを突き止めた。稲垣准教授は「CO2回収・貯留(CCS)技術やCO2ガスの生成、CO2ガスを利用して合成を行っている化学系メーカーと共同研究したい」としている。
成果は米科学誌ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサエティー電子版に掲載された。
(2017/3/27 05:00)