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[ 科学技術・大学 ]
(2017/3/29 05:00)
理化学研究所の高効率紫外線LED研究チームの椿健治チームリーダーらは、殺菌用の深紫外発光ダイオード(LED)を従来比約5倍高効率化することに成功した。光取り出し効率の高い新型LED構造を作り、現在、殺菌灯として使われている水銀ランプの効率に迫る水準を達成した。殺菌や浄水、医療用の携帯紫外LEDランプとして実現できる。
加工サファイア基板上に高品質な窒化アルミニウム層を結晶成長させ、その上にn型窒化アルミニウムガリウム層と発光層、電子ブロック層、透明なp型窒化アルミニウムガリウム層を製膜した。さらに、高い反射特性を持つロジウム電極をp型電極として形成し、LED構造を作った。
その結果、光取り出し効率が向上。素子の外部に放射される外部量子効率は、殺菌用途に最適な275ナノメートル(ナノは10億分の1)付近の波長において、世界最高の20・3%だった。低圧水銀ランプの効率は約20%。
高効率な深紫外LEDは、殺菌や浄水、空気清浄のほか、皮膚治療などの医療用途や、農作物の病害防止に使える。紫外線硬化を用いた樹脂形成や紫外接着、3Dプリンター、印刷・塗装、コーティングにも応用可能。
応用物理学会の速報誌アプライド・フィジックス・エクスプレス電子版に掲載された。
(2017/3/29 05:00)