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[ 科学技術・大学 ]
(2017/4/14 05:00)
東北大学大学院工学研究科の桒原聡文(くわはら・としのり)准教授らは北海道大学と共同で、地上をさまざまな色の光から高精度で観測する超小型実証衛星「ライズサット」のプロジェクトを2010年から始めた。
液晶可変波長フィルターを取り付けた望遠鏡で、420ナノ―1050ナノメートル(ナノは10億分の1)の波長領域の光を観測できる。桒原准教授は、「場所や用途に応じて光の波長を変えて撮像することで、漁場に適した場所の探索や農作物を刈り取るタイミングの決定に利用できる」と期待する。
ライズサットは、衛星自体を標的とする地点に向けた上で、撮像し続ける。長い露光時間を確保することにより、将来は5メートルという高い空間分解能での観測に必要な技術を確立する。さらに電気的に波長を制御するフィルターにより、打ち上げ後に地上からコマンドを送って実験条件を変更できるため、汎用性の高いことも特徴だ。
衛星の大きさは50センチメートル角の立方体で質量は60キログラム。18年に宇宙航空研究開発機構(JAXA)が打ち上げる小型固体燃料ロケット「イプシロン」で宇宙に運ばれ、高度500キロメートルから地上を観測する計画だ。
技術実証後について、「理学ミッションや災害への状況把握などの分野で、これまでに人工衛星を作ったことがない国にも積極的に使ってもらいたい」(桒原准教授)と国際協力に意欲を示す。
(冨井哲雄)
(金曜日掲載)
(2017/4/14 05:00)