[ オピニオン ]
(2017/5/2 05:00)
震災被害を数字による相対比較でとらえた失言で辞任に至った閣僚の言葉に、古典的な「トロッコ問題」を思い起こした。暴走するトロッコの先に5人がいて、唯一変えられる進路の先に1人がいる。分岐器を操作できるあなたならどうするか、という思考実験である。
そのまま何もせず5人が死ぬか、ポイントを操作して1人を犠牲にするか。人数から言えば1人の方を選ぶだろうが、進路を変える能動的な行動で人をあやめることになる。
この問題は実現味を帯びてきた完全自動運転でもしばしば議論される。運転者と歩行者のどちらかしか安全を確保できない場合、どちらを優先させるかという利己と利他の観点で論じられることが多い。
しかし数の多少や利己と利他で単純に判断しかねる場合もある。親が車に乗っている先にわが子がいた場合、子供の命を優先させたいと思うだろう。もっとも技術が高度化すればトロッコ問題のリスクは事前に回避できるという意見も多いが。
さて問題です。他国から5発のミサイルが打ち込まれ、迎撃ミサイルは4発しかありません。政府はどのエリアに飛んでくるミサイルを“選ぶ”のでしょうか。究極の選択に至らないよう、暴発の抑制を切に願う。
(2017/5/2 05:00)