[ 政治・経済 ]
(2017/5/2 09:30)
(ブルームバーグ)トランプ米大統領は1日、ウォール街の銀行の分割を積極的に検討していると述べ、消費者向け融資業務と投資銀行業務の分離を定めた大恐慌時代の法律、グラス・スティーガル法を復活させる取り組みを後押しした。
トランプ大統領はホワイトハウスの大統領執務室でブルームバーグ・ニュースのインタビューに応じ、「私は今それを検討している」とした上で、「旧制度への回帰を望む人たちも一部いる。だからそれを検討する」と説明した。
大統領はまた、インフラ建設の原資として連邦ガソリン税を引き上げる可能性を排除しないと発言。共和党保守派に不人気な政策もホワイトハウスが検討していることがあらためて浮き彫りとなった。
北朝鮮問題に関してトランプ大統領は、政治顧問らからは反対されているが、軍事衝突を回避するために自分は金正恩朝鮮労働党委員長との会談に前向きだと語った。また共和党の医療保険制度改革法(オバマケア)代替法案は少なくともオバマケアと同程度、持病がある米国民を守る内容になっていると述べた。
トランプ大統領は選挙戦中、1933年グラス・スティーガル法の「21世紀」版を施行すべきだと訴えていた。昨年の共和党綱領も銀行分割の復活を掲げていた。同法は1999年に当時のクリントン大統領の下で廃止された。
一部議員は同法廃止が2008年の金融危機の一因になったと指摘するが、ウォール街はこうした見方を否定している。トランプ大統領が独力で同法を復活させることはできず、議会が新版の法案を可決する必要がある。
ムニューシン財務長官やコーン国家経済会議(NEC)委員長らトランプ政権の重鎮はグラス・スティーガル法の修正版の復活を支持しているが、その内容の詳細はほとんど明らかにされていない。ムニューシン、コーン両氏ともゴールドマン・サックス・グループの出身者。
米主要銀行24行で構成されるKBW銀行指数はトランプ大統領のコメントが報じられる前は一時1.2%高だったが、報道後に約1ポイント下げた。その後、回復し、終値は0.9%高。
トランプ大統領は米国にとって最も差し迫った外交・安全保障問題である北朝鮮への対応について、金委員長と「会うのが適切ならば、断固として会うつもりだし、それを光栄に思う」と発言。「政治に携わる人は決して口にしないだろうが、適切な状況の下であれば会うつもりだ」と述べた。
原題: Trump Weighs Breaking Up Wall Street Banks, Raising U.S. Gas Tax(抜粋)
税制改革案はたたき台、議会との交渉次第で譲歩も
(ブルームバーグ)トランプ米大統領は1日、インフラ建設の原資として連邦ガソリン税引き上げを検討する意向を表明した。また先週公表した税制改革案はまだたたき台にすぎず、今後交渉を進めていくと説明した。
トランプ大統領はホワイトハウスの大統領執務室でブルームバーグのインタビューに応じ、ガソリン増税を「検討することは確実だ」と発言。「増収分を幹線道路に充当すれば」トラック運転手らの支持も得られるだろうと述べた。
トランプ政権は先月26日に税制案の骨子を公表。法人税の最高税率を現行の35%から15%に引き下げる案や、共同経営会社を含むパススルー事業体の税率の15%への引き下げが示された。
トランプ大統領はこの日のインタビューで、今後の議会との交渉次第で税制案の一部条項を削除する用意があると述べたが、具体的にどの条項を想定しているかについてはコメントしなかった。また米国の輸出品に諸外国が課す関税に見合う税率を個々の国からの輸入品に適用する「相互税」の導入をあらためて訴えた上で、税制改革案の「全ては出発点」だと述べた。
大統領は「私は相互税を大いに信じている。ある国が米国製品に52%課税して、米国が同じ製品を無税で受け入れるのでは誰も戦えない」と語った。
先週公表された1ページの税制案骨子ではガソリン税と相互税の双方とも言及されていなかった。トランプ大統領は、ガソリン増税についてはこれまで公約してこなかったが、「今後、確実に検討する問題」だと述べた。この日の午後、ホワイトハウスのスパイサー報道官は、大統領はガソリン増税を特に支持しているわけではないが、必要な道路改修の原資確保のためガソリン増税を支持するトラック業界に「配慮して」、その可能性を排除していないと説明した。
原題: Trump Open to Raising Gas Tax, Negotiating His Overhaul Plan (2)(抜粋)
(2017/5/2 09:30)