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[ 科学技術・大学 ]
(2017/5/17 05:00)
NTTは16日、トランジスタ内でランダムな方向に動く電子(熱ノイズ)を観測し、一方向に動く熱ノイズをより分けて電流を流し、電力を発生させることに成功したと発表した。熱力学分野で長年パラドックスとして議論され、これまで実現が難しかった「マクスウェルの悪魔」の原理を利用して発電する。 英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ電子版に掲載された。
トランジスタ内の電子1個の動きを観測し、その結果に基づいてトランジスタを操作する技術を開発。「マクスウェルの悪魔」を利用し、熱ノイズから電力を生成した。新たな高効率デバイスの実現につながる可能性がある。
熱ノイズは無秩序な電子の動きであり、電子の動きを平均化すると、どの方向にも動いていない。一方で、電流は一定の方向への電子の流れ。通常は、外部電源などを用いず、無秩序な熱ノイズから、電流という秩序性を持つ動きを生み出すことは不可能。
しかし、個々の電子の動きを観測し、一定の方向に動く電子のみを選び出すことができれば、電流を生成できる。
この電子を選び出す作業を行うのが、150年以上前に思考実験として提案された「マクスウェルの悪魔」と呼ばれる原理。だが、従来の実験は基本的な原理実証にとどまり、実現は困難だった。
(2017/5/17 05:00)
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